カタカタカタカタカタ・・・・・・

さん」
「あァ!!!???」
「コーヒー、入れてもらったから」
「・・・ありがと」

カタカタカタカタカタ・・・・・・

「・・・・・・さん」
「あァ!!!!????」
「・・・・・・ここ、変換間違えてる」
「・・・・・・ありがと」

ダカダカダカダカダカダカ・・・・・・

 

 

A BREAK


 

ほんとに。

ほんとに私にどうしろって言う訳!!!!!!!!

 

私はかなりブチ切れていた。
それはもうかなり見事に。
後ろにいる英士に被害を与えながら。


時計を見るともう12時を過ぎるころ。

終わらない作業にいらつきながらキーを押す。

 


バシッ


「・・・ さんパソコン壊すよ」
「別にいーのよこのパソコンもう古いし」
「そのパソコンが今なくなったらさんがいちばんツライと思うんだけど」
「・・・わかってるわよっ。うるさいから黙ってて!!!」
「・・・・・・」
「・・・・・・ごめん。今のやつあたりだわ」
「いいよ。気にしてないから」

 

 

金曜日の夜。

この日はたいてい練習帰りの英士がうちに来る。
いつもはこんな時間までいないけど、今日はきっと特別。
激ギレしてる私が親には手に負えないからって英士に押し付けてるんだ。

幼馴染だし、こういう状態の私を宥められるのは昔から英士くらいだったし。

 

・・・・・・ていうか彼氏だし。

 

机のパソコンに向かって怒気を発している部屋に、英士はなんのためらいもなく入ってきて。

雑誌を読んでると思えば、気がついたらうちの親に言って夜食やらコーヒーやら持ってくるし。

それにもいらついて英士にあたってる自分がイヤ。

 

・・・・・・あー。
・・・もともとが幼馴染だったからよけいに英士にあたってるのかな。

 

 

あーあ。

昔はかわいかったのに。

気がついたらかわいくなくなっててさ。

なんか男の顔になってて。

 

 

なーんで年下にあたってるんだか。

いや2つやそこらだけど。

英士がうちに来たときから私はこの調子だから、なんでこんなに私が機嫌悪いのかも知らない。

なのに気にしてないとか言うし。

 

「・・・・・・」

ひとつため息をつく。
そして後ろでベットを背もたれに雑誌を読んでる英士に今日始めて私から声をかけた。


「ねえ英士」
「なに?」
「ちょっとグチ聞かない?」
「いいよ」

机から離れて下に座った。ベットを背にしている英士と向かい合う形になる。
そして今日のことを口にした。


今日提出の資料を生徒会に持っていってからの出来事だった。
資料ってのは、各係と各部活の予算を全てまとめたプリントのこと。
私は数日かけて、各係や部活から提出してもらった予算をまとめて資料にしてた。


なのに。


私がまとめた資料の数字は訂正前のもので、ほとんど間違った資料ができあがってて。
しかもそれをなぜか私だけの責任にされるし。


「私は事務局で予算を再提出させてたことも知らなかったのにさ。・・・・・知らなかったことに
ムカついてるわけじゃないよ。それを知らなかったこと自体は私の責任でもあるし。
・・・・・・私がムカついてるのは、お前らも悪いんだから謝れって思うわけよ!! 
結局今日の会議じゃ私だけダメ出しされて終わるし、明日までに作り直して来いとか命令だし!」


そこまで言い切って、私はため息をついた。


「・・・・・・まあこんなこと言ったって結局はいい訳だし、明日までに資料を作り終わらないと
いけないことには変わらないんだけどねー」

 

英士はずっと黙って聞いてる。

英士は、私が同意を求めてるわけじゃないのをわかってる。

ほんとに、ただ聞いて欲しいだけだってことを。

 

ちょっと気が済んだから、じっと英士の顔を見つめた。

 

「・・・なに?」
「別に。なんかあんたにむかついただけ」
「・・・あんまりうれしくないよそれ」
「知ってる」


ふと横に目をやると、ポットやら急須やらコーヒーやらが部屋の隅に置いてある。


「・・・あれ、どしたの?」
「おばさんたちがもう寝るからって、置いていった。いる?」
「・・・・・・いらない」


ほんとにこいつはうちの親と信頼関係ができあがってる。
ふつう年頃の娘と、幼馴染とはいえ年頃の男を同じ部屋に入れて寝れないよ?
ちょっとは心配しろっての。


「・・・続きやろ」
さん。コーヒーばっかりだと胃に悪いよ。お茶くらい飲む時間あるでしょ」
「ない」
「時間は作るものなんだよさん」
「・・・」


もうひとつ、ため息。
英士は知らないフリしてお茶を入れる。


「・・・この展開、あんたにいいように扱われてるみたいでむかつく」
「否定しないけどね」
「・・・あっそ・・・」

あっさりと肯定されてがくりと肩から力が抜ける。
そう言われて怒らなくなったのは、私が諦めたのか開き直ったのか。

「なんか、疲れたなー・・・」
「全然休憩もしないで数時間パソコンに向かってイスに座ってたら疲れるのは当然でしょ。
少し寝たら?」
「んー・・・」

 

どうしようかな。

もうそろそろ終わりそうではあるんだけど。

 

机の上のパソコンと英士を見比べた。

 

あ、そうだ。

 

 

私はにっこりと笑顔を浮かべた。

 

「じゃあ、30分くらい寝ようかな」
「いいよ・・・っ!さん?」

 

ごろりと横になって英士の膝の上に頭をのせた。

ひざまくら。

私の突然の行動に珍しいくらいの動揺をみせる英士。
そうそう、これが見たかったんだよね!

英士の膝の上から見上げながら聞く。


「なに?」
「なにって・・・」
「膝くらい貸してくれてもいーでしょ。起こしてねー」
「・・・・・・さん」
「あ。言っておくけど」


平常心を取り戻した英士が先になにかを言う前に、私が口を開いた。


「手、出したら承知しないからね。この前の二の舞にはなりたくないよね?」
「・・・・・・」


笑顔を浮かべて釘をさしてやる。

案の定黙ってしまう英士。

「30分くらいたったら起こしてね」

そうして私は眠りに入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・これって生殺しって言わない・・・?」

 

 

 

 

 

 



どうしようもなさそうに英士が眉をしかめて、そうぽつりと呟いたことを私は知らない。

 


そして、英士が今日じゃなければいいんでしょと考えて、あまり見せない笑顔を浮かべたことも私は知らない。


 

 


END(え)

 

 

5,000HITスルーリク、英士夢でした。麻生葛葉さまへ捧げます。

私の書く英士はこんなもんです、ええ。

麻生さまの書くような英士のようにかっこよくはなりません・・・情けない・・・!

それ以前にこの英士は前に手を出して痛い目にあってるみたいですね!

こんなものを送りつけてすみません!!!!(返品可)

UP DATE: 4.25.2002



スルーリク頂くなんて図々しかったのですが、

素敵な英士さんをありがとうございましたvv

気遣ってくれる所がすごく優しくて焦ってる辺りが可愛いですvv

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