Hate tell a lie
部屋の扉を静かに開ける。
月明かりでぼんやりと明るい部屋の奥に進むと、ベットの端に座った。
「ルック……」
唇を近付けようとするとルックは寝返りをうって背中を向けてしまった。
「……何か用?」
「……『何か用?』はないだろ?一緒に寝ようと思ってさ」
「何で僕があんたと寝なくちゃいけないわけ?」
冷たい声。
その拒絶にやや傷ついたが彼はめげずに続けた。
「ほら、寒いし……」
「僕は寒くないから」
「ルック……」
「鬱陶しい」
拒絶。
「……ねえ、僕の部屋でそんな匂いさせないでくれる?
気分悪いから」
「……ああ」
彼の恋人は…そもそも恋人と呼べるだけの関係なのか自信がないが、自分の気持ちを言ってくれない。
幾ら何をしても鬱陶しがるだけ。
こうして気にして欲しくてわざとレオナ達と酒を飲んで、
彼女たちの香水の香りをつけてきたというのに無反応。
余りの拒絶ように仕方なく立ち上がる。
出て行こうとしたその時、小さく声がした。
「シーナ」
「何だ?」
珍しく名前で呼んできた事に驚きつつも立ち止まった。
「………あんたがどこで何してようが僕には関係ないけど……わざとしてこなくてもそれくらいわかるから」
「ルック……」
その言葉に気分が浮上して振り返ったが。
「まだいたの?」
なんて言われて。
でも……
「……一緒に寝ていいか?」
もう一度尋ねるとルックは一つ溜息をついた。
「……その前にする事あるんじゃないの?」
こちらを見ないままの肯定とも否定ともとれない返事。
それでも彼の言いたい事はちゃんとわかって。
「後でくる」
そう答えて急いで風呂に向かった。
静かに閉められたドアの向こうで、ルックは小さくつぶやいた。
「……あんたに嫌いって言うのは簡単なのにね……」
もう一度溜息をつくと寝返りをうち直した。