Perfume of love

 

 

 

湖の近くの白い家。
それが彼の新しい家。
大統領の座も、

たった1人残った家族もみんな置いてきた彼に何にも聞かずに置いてくれたあの人との。

 

今、おしごとしてるのかな。

 

周りに誰も住んでいないから淋しいけれど、

そんな事を考えていれば時間はすぐに経つ。
いつものように家の花瓶にさす花を摘んで家に戻る。
ドアを開けようとした時、中から小さいこの声が聞こえた。

―――――え?

中には優しそうな母親と父親がいて、声の主である子供が幸せそうに笑っていて。

―――――家を間違えた?

確かここは一本道だったはず。
道を間違えて迷子になるはずがないだろうのに。

家の色も、かかっているカーテンの色も同じ。

―――――どうしてだろう?

それでも、

幸せそうな彼らを見たら中に入る事が出来なくて来た道を引き返した。

そう、確かに一本道だったはずなのに。

すぐに先程いた花畑に着くと、ずっと向こうに何かがあるのを見つけた。

何だろう?

気になるまま足を進めて行くと、まだ新しそうな石碑があった。

「………シード?」

そこに彫ってある名前。
綴りだってちゃんとあっていて。

「………どうして?」

小さな身体が震える。
頭は無情にも既にその事実を受け止めにかかっているのに、感情がついていかない。

 

 

『そばにいるから』

 

不意にシードの声が頭の中で再生される。
優しい声。
安心して全てを預けられる力強い声。

どうして?どうしてこんな事になってるの?

声だけがずっと耳の奥で響くのに、

目の前にあるのは痛すぎる事実。
いや、これは事実?
「あ、葛葉ちゃん」
背後から聞こえてきた声に振り返るとジョウイがいた。

 

「今日でもう、3年も経ったんだね。葛葉ちゃん、やっぱり会いに来てたんだね」


どういう事?

声はずっと聞こえるのに、

側にいると言ってくれたのに、

その彼は既に3年前にこの世界からいなくなった?

「………シード……」
耳を塞いで、その場に泣き崩れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふと目を開けると白い壁。
「くーちゃん?」
優しい声がして目を向けると彼がいた。
「怖い夢でも見たか?」
葛葉からは遠い方の腕を伸ばして前髪を梳いてくれる。
疑問に思って見ると、

葛葉の手が、彼の、自分に近い方の手をぎゅっと握っていて。
事実ではなかった事に安心しているのに自分はまだ小さく震えたままで。
「………うん」
「そうか」
彼は僅かに困った顔をしたがすぐに抱き締めてくれた。

 

「俺、ここにいるからもう大丈夫だよな?」


あの夢は予知夢?
自分はただ1人取り残される?
戦争の終わりが見えてきている。
完全に終わった時、シードは…?


「ずっとそばにいるから」


………優しいはずのその言葉が耳に響いて痛かった。

 

 

 

 

○あとがき

  いや、携帯サイト30000hitリクのリメイクだなんて気のせい(をい)

  予知夢である事は個人的にはその3ヵ月後くらいにわかるのではないかと思ってます。

  酷く今の自分と重なりを見ている感じが。やっぱり坊ちゃんと同じ名前だからなのかな。ユギさんよりも感情移入しやすいです。     

 

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